長い間、男性の自営業者を顧客としてきた。
50歳代まで、相続対策を積極的に取り入れようとする姿勢は、いつの間にか忘れ去られ、会社を売却することを提案すれば、70歳代の経営者は怒りはじめ、妻は「家にいられては困る」という。
年金があてにならない時代に、従業員の転職先まで考える余力がないようにもみえる。
大学院の論文は宝物がたくさんあり、朴新『日本人の労働観、歴史的変遷』と君嶋千佳子『派遣労働の本質と日本の働き方に及ぼした影響』を見つけた。
企業は人材不足に喘いでいるものの、派遣会社には「使えないから返します」という。
バブル崩壊後、長期的な不況が続き、日本的経営における「終身雇用制」「年功賃金」が絶対的なものではなくなってきた。
終身雇用制のもと、個人は企業に労働の質と量ではなく、人間関係によって仕事が遂行された。
若者は、機械や組織そのものが主導権を持つ職場に、行き場のない窒息状態に陥り、脱サラし、派遣労働のほうがまだマシと思うようになる。
会社員となったとき、制服を着ての教育訓練にうんざりしたが、ちょっとした技術が身につくと、明日も先輩に褒められたい、そういうことがあった。
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