令和元年6月号
梅雨前の狂った暑さに、「大谷地下採掘場」のひんやりした空気は、宇治金時を食べている気分にさせてくれる。

採掘場跡に地下蔵を持つワインセラーは、通年湿度と温度が一定しているので、ワインを熟成させるのに最高の環境だといい、宇都宮市街地に大谷石酒蔵をもち日本酒をつくっているところもある。

日本列島の大半が海中にあったころ、火山が噴火したときの火山灰や砂礫が海に沈殿し、凝固して出来上がった大谷石、採掘場跡は、第二次大戦中は軍事工場として、戦後は政府米の貯蔵庫にしていた。
手掘りをしていた当時の爪の痕をみると、「石は何でも知っている」と語りかけているような気がする。

大谷石奇岩を眼で追いながら歩いていると、顔つきに真実味のない、天にそびえる平和観音が現れてくる。
大谷寺にある千手観音は弘法大師作といわれ、風化しているものの、シルクロードを旅している錯覚をする。

大谷石は手にとってみれば軽く、子供のころ風呂場にあった軽石を思い出し、宇都宮駅で「元気いなり」を買い、母の施設に持って行った。
児玉 智子
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