工大の並木道にムクドリがちょこんといて、撫ぜても飛んでいかないし、怪我をしている様子なので、田園調布の小鳥の病院に行き、診せているうちに気絶して仰向けになってしまった。
庭にまたひとつお墓がふえ、ムクドリの温もりが忘れられず、もみじの木に巣箱を置くことにした。
その晩、村上春樹『騎士団長殺し』に出てくる、体調60センチの騎士団長が枕元に出てくる夢をみた。
潜伏キリシタンの集落を巡り、いちばん印象に残っているのは「天草の崎津集落」だった。
静かな漁村に、崎津教会の白い十字架が灯台のように佇み、生活そのものが信心することと感じさせる。
江戸時代のキリスト教禁教は、明治維新の後、不思議な土着宗教に変容していったのかもしれない。
「天草崩れ」の舞台となった崎津諏訪神社では、信者が「アーメン、デウス」と唱え、神道と仏教とキリスト教、一体の御朱印が発布される。
商店の入り口には、一年中、海老の正月飾りがぶらさがり、当初はキリシタンを隠すためだったが、豊漁安全のお守りにもみえる。
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