東海道旧道を、ただ無心に歩いた。
岳南電車で吉原に下車、宿場がどこにあるんだろうかと、旨そうな湧き水と富士山を探しながら、ペタペタ歩き、いつの間にか、製紙工場の煙突に魅せられ、寡黙な煙を追っていた。
毎日お世話になるトイレットペーパーは、富士市の生産量が、全国の1/4を占める。
富士川の地下水と愛鷹山の楮三椏から駿河半紙を作っていた技術が、東名高速に載って、各家庭に配られる。
岳南電車は、戦前に敷設された日産自動車の専用鉄道を利用、沿線製糸工場の貨物列車として、最盛期には年間100万トン近い輸送量があったが、トラック輸送へ転換、2012年に貨物廃止した。
日本夜景遺産に認定されてから、夜景電車は夏のジャズトレインへ、ひと夏の夢を提供することになった。
|