平成25年6月号
集まりがあったとき、祝辞の声は鼻詰まりみたいで歯切れが悪く、ひとに見せられる芸もない。
そんなことで「どじょう掬いをうまく踊れたら」とずっと思っている。
最近思い出したことだが、最初の父は公務員を辞めてから、昼間はぶらぶら・夜中になると鼻に黒いマジックを塗り、鼻の穴に割り箸をさし、どじょう掬いを踊りながら帰って来た。
父親は厳格な研究者、離れで本に囲まれ、キャベツと煮干をミキサーでかき混ぜて飲み、生活の糧は、やり手の美容師の母に任す、「髪結いの亭主」の見本だった。こういう血筋、私のもとある性格は「どじょう掬い」がぴったりする。
私の母は、教会で英文タイプを習得し、タイピストとして活躍すると同時に、教会神父のアル中息子の親友「どじょう掬い」と結婚する羽目になった。
「どじょう掬い」が亡くなり裁判所に呼び出され、もちろん放棄し、上品そうに見える後妻さんから、(最期まで私の写真を持ち歩いていた)と聞いた、十年前の出来事は、今と同じ梅雨の中休みで、房総半島の中央に位置する地方裁判所は、田圃の中にあったような気がする。
児玉 智子
令和元年 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号
平成31年 1月号 2月号 3月号 4月号
平成30年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成29年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成28年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成27年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成26年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成25年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成24年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成23年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成22年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成21年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成20年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成19年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成18年 1月号 2月号 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号
平成17年 6月号 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 12月号