令和元年9月号
宇都宮と大宮が好きで、駅から10分歩けば、せみ時雨に濁音がなく、空気の味がわかる。
大宮の花屋で、見たこともない大きさの鬼灯とおがらを買い、茄子の馬の作り方を教えてもらったものの、迎え火をしても犬が地上におりてきた様子はない。

お化け屋敷の制作をする丸山工芸社が、火事で作業場を全焼、たくさんの人形を焼失し、被害額が大きいだけでなく、創業時から受け継いだものも失くした。
それでも宇都宮オリオン通りのお化け屋敷は開催されたが、作りたてのお化けは、怨念が醸成されるのに時間がかかりそうだ。

左手にみえる大谷石造りの松が峰教会は、双塔が涼しそうに天にむかっている。
熱中症寸前の頭を冷やしながら、空襲で罹災した教会が2年で復元された石工職人の技を、誰もいない聖堂で、じっくり眺めながら、きのう勝鬨の交差点に立ったときの、タワマンの鬱陶しさを思い出したりもした。
児玉 智子
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