平成29年6月号
大津絵は、江戸初期から職人が描いた絵画で、東海道宿場の大津追分で土産物として旅人に売られていた。
庶民の護符として身近なものだったので、小噺や俳句にも大津絵がでてくる。
私は鬼シリーズの中でも「鬼の行水」が一番好きで、体を洗っても心を洗わぬ人間への揶揄を描いている。

閑散とした大津駅を降り、菱屋町商店街と長等商店街のアーケードを歩き、杖をつく高齢者やカートを引きながら買物する姿、シャッターが閉まっている小売店が目につく中、幾つもあるデイサービス、どこにでもある風景のアーケードを出る頃、すがすがしい緑雨が降り、大津絵美術館の住職さんに傘をもらった。

琵琶湖疏水は銀閣寺裏まで続く、疎水沿いを歩いていけば、旨い豆腐が待っているような気がする。
児玉 智子
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