何処も彼処も危険な暑さといわれる中、アーツ前橋に『昭和の肖像』を見に行く。
新幹線はお盆休みで帰省する家族で溢れ、家族は寄り添ってつくられていくのだなあと思っているうちに、整然と閑散とした地方都市、前橋に着いた。
写真展会場は、私だけが観客で、沈黙したシルバープリントに圧巻され、くしゃみが響き渡り、帰り際、涼しげな着物姿の石内都さんに会うことができた。
写真展でいちばん深みがあった常盤とよ子の作品、昭和32年発刊の写真集『危険な毒花』を手に入れ、戦後の女性が生きていくことについて考えさせられた。
前橋駅は、並木通りをぬけるとアーケード商店街が多く、古くからある洋装店が点在し、千円で母のシャツを買い、利根川支流の広瀬川を河畔に沿って歩けば、水量も多く、木陰が清々しい。
日本一安い遊園地「るなぱあく」は入場無料、木馬は開園した昭和29年以来、10円で乗ることができ、最多利用者数を更新している。
ゆっくり廻るメリーゴーランドを眺め、親子の会話ものんびりしていて、二子玉川園でソフトクリームを母のスカ-トに落とし、「この子は、私の子供でない」と怒られたことを思い出す。
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