平成28年8月号
都立小川高校の中田先生が、高尾にある淺川地下壕を案内してくれた。
生徒といっしょに作成した、地下壕の実測地図を見せながら坑道を案内、ダイナマイトで岩を爆破した痕跡やトロッコの枕木跡を教えてくれた。
回虫になって、自分の胃カメラ実地検査をしているようなもので、ヌカルミや岩のでこぼこを歩きながら、前の人に離れないように、壁伝いで進み、平和呆けしている自分と、足音の反響と、ひんやりした空気が、脳内で共鳴した。

終戦前年秋、アメリカ軍のB29が徐々に空襲を本格化させ、日本が敗戦に追い込まれていくなか、ゼロ戦など日本の戦闘機主要メーカーだった中島飛行機武蔵製作所が狙われ、壊滅状態となった。
当時、陸軍は本土決戦に備えて、武器倉庫にするため、朝鮮人労働者が動員され、壕の掘削を始めた。
その壕に、終戦間際の一ケ月余り、中島飛行機武蔵製作所が移転し、千人が働いていたと聞く。

戦争遺跡に興味を持つことになった本は、開高健『日本三文オペラ』、大阪の旧陸軍砲兵工廠のクズ鉄を盗んで生きていくアパッチ族、またこの世に生まれて又おんなだったら、アパッチ族が通う呑み屋のおばさん。
児玉 智子
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