掛川で人力車車夫をしていた杉山繁さんの、ひょうひょうとした横顔を思い出すことがある。
水窪の街道まつりのため、天竜川に沿った旧道を夫婦ふたり、小さなトラックに人力車を載せ突っ走る姿は、もう観ることはない。
奥様からの手紙に、毎朝繁さんの写真に「おはよう」と声をかけ、犬と猫に囲まれ生活していると書かれていた。
産業衰退していく町に、観光によるまちづくりは、人の動きを創り出し、いま掛川は、常葉大学経営学部の学生が「人力車常葉組」を運営しているという。
戦後の闇市あたりの時代風景と、その当時の女性の強さが好きだ。
乃南アサ『水曜日の凱歌』がこころに残り、『地のはてから』を読んでみる。
今まで差別を感じないで仕事を続けられたことは、気軽で良かったけれど、女性が家庭を守っていくことのしんどさを経験していないため、相続の仕事をしながら、家族というものを学んでいるような気がする。
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