母との短い旅は、母子とも疲労困憊。
宮古島でケアマネージャーをしている高岡さんと夕食を供にした晩だけは、ぐっすり眠っていました。高岡さんが母に云っていたことは「おかあちゃん、何時までも元気でな!」ぐらいで、時間がゆったり流れることは伝わっていたと思います。
それ以外の夜は一晩中部屋を歩き回り、犬を探し、15分毎にトイレに行く。
入院していたときに看護婦さんから受けた報告と同じ現象で、母の身体は旅に行くことを望んではいないことが判りました。
見当識障害は、自宅で時間・日付・自分の年齢を繰り返し尋ねているうちは問題はない、「何処にいるのか判らない」「だから道に迷い、この事態から抜け出せない、パニック状態に陥る」。
母は日々過ごしていくことだけでいっぱいなのです。
毎日毎日、宮古に行ったときのアルバムを開く母の後姿は、そんな事を忘れさせる。
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