随分あっさりした雰囲気にかわった上野千鶴子さんの写真が新聞に載っていた。
「発情装置」「家父長制と資本制」「現代社会学講座」「ケアをすること/されること」「老いる準備」をまとめて読んだ。
どれを読んでも、労働価値分析が一貫していて潔さが気持ちいい。
母は最近まで、デイサービスで知り合った同じ女学校の後輩と毎晩のようにいっしょに食事をして、とても楽しそうな毎日を送っていた。
だから私も二人分のおかずを用意したり、Tさんが好きな小さいサイズのビールを冷蔵庫に入れておいたり、そのビールが減らなくなって、私は慌ててTさんが何処の施設に入ったのか探し廻る。
予想された回答「個人情報保護法により教えられない」。
こういうとき母の痴呆はいい、案外けろっとしていて、来週には何もなかっかような顔をしているだろう。
私は誰とも連絡を取ることが許されないTさんの環境を思い、日々虚しい気持ちでいっぱいになる。
いくらゴージャスなケアマンションだって、自分が好き好んで入居している訳ではない。
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