母の世話をしてくれる諏訪さんは、いつもの昔話を数百回と聞いてくれ、犬臭い家の掃除を母といっしょにして、買い物に連れ出してくれる。
介護保険法の恩恵により、私は介護から開放され外で働くことができる。
産業革命以降、男性が賃金労働、女性が家庭内でシャドウ・ワークを担うことを前提としてきた。
「家事労働」を「労働」と呼ぶための根拠として、①他人のためになされる ②分業を形成している
③誰が行ったかは問題でない、しかし家事は愛の行為であり喜びで、相手の感謝がそのまま報酬となる無償の行為であって労働とみなすことに反論する人もいる。
ヘルパーさんは、お手伝いさんとも違った、複雑な仕事だ。
介護の仕事は感情労働の領域にあり、自分の感情をコントロールしながら、介護される者にこまやかな配慮を示さなくてはいけないし、長期的ないい関係を保たなくてはならない。
その上、家事労働の延長とみなされ、ボランティア精神も要求され、労働条件が良くはない。
お年寄りに感謝されることが生きがいといっても、育児のように相手の成長が無償の報酬にはならないし、
介護される人は、サービス提供の評価をする能力に欠ける実態がある。
プロのケアワーカーや医師は、感情労働ゆえに、割切った感情を要求される。
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