古本屋で宮本輝『胸の香り』を50円で買って、表紙に見覚えがあると思いながら、本棚に置けば、同じものを2冊見つけた。
なぜか、自分のお産婆さんのことを思い出し、小学生のころに再会したとき、そのお産婆さんが、「きっと幸せになれる」と云ってくれ、その拝みやのような言葉を信じてきた。
棚田康司の一本造りの彫刻に魅せられ、作品の周りを一巡する。
どの位置から作品を見ても、木の年輪が自然な紋様となり、土からその一本の樹木へ、そしてそれが作品に生命を宿していると思えるのは、如何だろうと、少女がおとなになっていく前の戸惑いのようなものが、年輪に滲みこんでいる。
ミズマアートギャラリーは金属の扉が重くて、異空間の玄関となっていて、作品を味わうには集中力がいるといっている。
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