久しぶりの映画館、隣の席に座った大きな女の子がバケツに入ったポップポーンを抱えていたので、その匂いにむせながら、映画を観ることが残念だった。
〔紙の月〕を観たくて、慌てて原作を読む。
言葉の表現は、その時の頭の中に色があるから、映像との違いを自分で確かめることが楽しい。
梨花は鼠小僧次郎吉と同じ癖がある。
キリスト系の女子小学校、梨花はタイの恵まれない子に寄付するため、クラスの目標額に届かない金額を父親の財布から盗む。
結婚して銀行のパート勤め、外回りの営業で金持ちの高齢者相手に好成績をあげる。
余っているのだから、また盗む。
お金を信じない梨花は、信じるものを探しに、突っ走る。
サルトゥ・ラジュ『借りの哲学』をよく見直す。私の仕事はお金が世の中にあるからこその仕事で、うんざりもしている。
会社の経営者は、給料や仕入代を支払う義務があり、家族の生活費を持ち帰る責任もある。
しかし、お金は一人歩きし、外車や時計に化けたりもする。多くの人が生きるためには、相対しないお金の流れが必要だ。
|