平成21年8月号
3年前に宮古島出身の精神科医S先生の論文『シャーマニズム的風土における風土的認識モデルと精神医学的認識モデルとの相互作用』を興味深く読み、私がドゴン族の仮面といっしょに手紙を添えて送ったことがきっかけで、S先生から不思議な語りのメールが頂くのを楽しみにしている。
(先週届いたメール)
S先生は院生23人を引き連れ宮古島を一周し、「神と森の流れ」と「ブルトーザーの理論」との鬩ぎあいが直感され、それを院生に伝えた。
目にみえるものは開発の姿、しかしその背後や古層には神と森の生命の流れが滔々と流れていて、決して、誰かが嘆くようには、消滅してはいない、いや新たに蘇る、いや新たな形に姿を変えながら現れている、しかし「見えない」だけで、いつか顕現しつつまたその姿を眩ますのではないか、という思いが強くなりました。

それからというもの「ブルトーザーの理論」この言葉が頭から離れない。
精神科の臨床は、広く共有されている医学的言説と患う者固有の個人的言説がせめぎあう場だという。そして臨床が行われる場所は「多くの語りが共鳴する場」で、病む人間の語り・その家族の語り・医師の語り・看護師の語り・臨床心理士の語り・精神保健福祉士の語り・さらに文化と歴史の語り、これらに耳を傾ける姿勢をもった臨床の現場作りが望まれている。
児玉 智子
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