平成31年2月号
ふたむかし前の黒門市場は、八百屋と河豚やの親父さんが店先で囲碁をしていて、その親父さん達を見たかったが、威勢がいい商売の呼込みにおされ、影をひそめていた。
この辺りは鮮魚商人が多く、近くにあったお寺の山門が黒塗りだったので、黒門市場といわれるようになったが、黒門はどこにもない。
買い食いする観光客の外国語が飛び交い、道幅が狭くなったような気がするのは、カウンターが迫り出したのかもしれないし、焼肉といっしょに網目模様がついたメロンの串刺しを頬張る人に、呑み込まれそうになっているからもしれない。
児玉 智子
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