平成23年6月号
生きることにリスクがあると皆が感じるようになり、かえって「信頼して繋がりたい」と誰もが思うようになり、今迄何も考えないで生活してきた人もリスクを意識せざるを得なくなった。
リスクは認知のしかたで見え方が変わってくる。客観リスクは望ましくない結果をもたらす科学的根拠があり、主観リスクは根拠がなくても危険で怖くて不安だらけ、客観リスクと主観リスクのあいだにギャップがある原因は、リスクの本質が不確実だからという。
リスクは確率的で不確実性があれば、認知にバイアスが生じるのは当然だ。
ひとは日々、直観的に手っ取り早く判断して生活し、めったに起こらない航空機事故をテレビで大きく報道すれば記憶に残りやすく過大評価することになる。
リスク情報があまりに重大な脅威をもたらすと、自我防衛機構によって排除されないと息苦しくなり生きていけない。
フィルタリングは生きる術なのだ。
奈良由美子『生活リスクマネジメント』息苦しくて目が冴える。
児玉 智子
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