平成24年7月号
山極寿一『家族進化論』がやっと届いた。

『種の起源』ダーウィンが、社会本能は共感の発達によって高められ、他人に親切な行動を示すことの互酬性や道徳の進化にこだわった時代背景には、産業革命による労働力の集約化が、大家族から核家族への移行期であったことが影響する。
サルの社会では見えている世界が真実なので、強いサルが見えない場所で食物に手を伸ばし、交尾相手を誘い、自分より弱いサルを攻撃する。
向社会的行動が、サルや類人猿の群れ社会では希薄なのに、人間社会では当たり前かというと、共同の子育てと食の社会化ではないかと。初期人類もゴリラのように男が子育てに参入し、捕食の危険が大きい場所で、支援の手を差し伸べる行動が集団を生き延びさせ、さらに人類は共感力と協力関係を強化した。
コミュニケーションは、しぐさと音声で表現し、人間の切れ長で白目の白さは説得力があり、対面し、向かい合って食物に手を伸ばし、無意識に、眼の動きで相手の感情を読む。 そこに、言葉が登場し、目的意識を高め、過激な表現は、信頼関係を築くことから遠ざかることになった。
人類の祖先は狩る側でなく、狩られる側で過ごしてきた。人間の社会性は攻撃でなく、大切な仲間を防衛することで発達してきた。
児玉 智子
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