平成27年7月号
ドリアン助川の『あん』を読んで、「あん」を観た。
どら焼き屋であんこを作る樹木希林が、らい病(ハンセン病)患者だった人が生活する多磨全生園から通っていることが判り、どら焼き屋の行列が閑散としてしまう。
桜の花びらが強い風で散る場面が印象に残った。
私が全生園を訪れたのも、桜の季節だったので、人影がない裏庭の桜と菜の花のコントラストが静寂で、お気に入りの写真として保管してある。

300年も前は、コレラでも赤痢でも疫病は「キツネ憑き」「犬神すじ」と云われ、白い眼で見られ、家族が崩壊し、子孫までにも及んだ。
加藤清正の菩提寺、熊本の本妙寺は、らい病にかかった清正が信心で治癒したことから、境内にらい病患者が部落をつくったという。
当時のキリスト教宣教師が、全国各地にらい病救護施設を開院したものの、徳川幕府のキリスト教弾圧と長い鎖国により、らい病患者は野放しとなり、迫害が続いた。

梅雨の晴れ間にシーツを干しながら、宮古島南静園の風景が思い出された。
職員の話、完治し実家に戻っても居心地が悪く、南静園に戻りたいという人が多いと聞いた。
児玉 智子
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