荏原中延にある隣町珈琲は『小商いのすすめ』平川克美さんが店主を務める喫茶店だ。
平川さんがゲストを呼び対談するイベントは、出版業界の不況を補い、物書きが身近な存在だということを、気付かせてくれる。
文化人類学者の松村敬一郎『うしろめたさの人類学』を読み直してみた。
帯に山極寿一が、「おかしな人」不在の日本社会を変革する道は、「うしろめたさ」に気づき、断絶した世界が「つながり」を取り戻す、そういう帯につられて購入した本だった。
構築主義という考え方、ストレスとか鬱とかの言葉がなかった時代から、流行のような言葉になったことで現実を作りだす。しかし主義の視点は、体制を批判するときに有効でも、批判だけで終わらせたくない。
松村のフィールドワークの地エチオピアで、自分が彼らよりも不当に豊かを享受できているという「圧倒的な格差へのうしろめたさ」から、ポケットの小銭を物乞いする人に渡す。
個人の確定申告で、何百万円もふるさと納税をする人がいる、焼肉屋が出来るほど霜降り肉が届くかもしれないその人達は、ふるさと納税額の節税ラインを計算するところから始まる。
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