母がお世話になっているデイサービスで音楽祭があった。音楽同好会が結成され、数ヶ月の練習を経て、晴れ姿のお披露目となったそうだ。
母が通った小学校の近くにある通所施設は一軒家で窓が大きく明るい、顔馴染みのスタッフが精神的に安定していることで、母も「周辺症状がない穏やかな痴呆状態」を保っている。
デイサービスを利用する高齢者の状況は千差万別で、音楽同好会という歌えるグループ、ボンヤリ聞くことができる人、全体的な雰囲気が判るが車椅子で動きずらい人、家族が見学にきて嬉しそうな人、無表情で俯いている人。
大井玄『痴呆老人は何を見ているか』認知症は記憶を中心とした認知能力の低下にはじまり、コトバを理解しコトバで表現する能力が次第に衰えていく、話を通じさせるではなく「心を通わす」のが極意だという。
音楽祭の日は母の誕生日、こんなにたくさんの人に「おめでとうの拍手」をされたのは始めてで、本人何とも心が暖かくなった気分を味わった。コーラスという共同作業や笑いが心を通わせ、情動共有の機会を得ることができました。
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