職人わくわく - Wakuwaku Workman -

−平成30年3月号−

「あざみ野フォト・アニュアル」が開催され、金川晋吾展で配布された「長い間」という小冊子から、失踪を繰り返す父親と長い間失踪していた伯母を撮り続ける作家との、細い糸で繋がる関係性は、自分を問いただす機会を与えてくれた。
公務員だった最初の父は、私が物心つくころから仕事をせず、夕方になると、私を膝の上に乗せ、大岡山の飲み屋でたくさんの葱がのった煮込みと安酒を飲んでいた。
私は、葱と煮込みが嫌いだ。
左足の太腿に弾丸で抉られたキズ跡があり、不気味だったが、今思えば、父として、無責任にみえる行動は、戦争の後遺症だったのかもしれない。
写真家金川の父への誘いかけ、言葉で表現できないなにかを写真で表現する、重たいペンタ67を抱え大阪へ行く、彼と彼の父は、内面にあるものが似てみえる。