哀愁の静岡おでん
- Tearful Shizuoka Oden -

週末の朝、母をデイサービスの送迎車に押し込める。
天気予報は終日雨模様、私は仕事をほっぽり投げて、在来線の知らない駅で降りて温泉に入り、静岡おでんと静岡割りで寛ぎたい。
島田宿は大井川の川留めで江戸の長唄文化が普及したと聞く。屋台で一流の長唄芸人が演奏し、2歳の子供が「やんちゃ踊り」を披露する。真っ直ぐ立っていられない子供達がカツラを被って踊る姿は、親たちをハラハラさせる。
大名行列の大奴が、花嫁の丸帯を木刀に掛けて練り歩く姿が面白い「島田の帯祭」は奇祭といわれる。
地方都市の駅前は、きれいに舗装されたロータリーと閑散とした広い車道、駅前には全国展開する居酒屋の看板と変わらぬ風景、祝祭のパレードに必要なのは、広い車道と参加者を上回る見物人の数。

どしゃ降りの青葉おでん街、夕方4時半一斉に暖簾を掲げる姿は、「継続は力なり」。
新緑色の静岡割りを2杯飲んで、母が待つ東京に帰ろう。