職人わくわく - Wakuwaku Workman -

−平成29年10月号−

2年前の桂三木男は、寄席が終わると、お客さんに、手作りのアップルパイを手土産に用意していた。
そのときから、声の響きと噺の間の取り方が好きで、ちょっと気になるのは、「えーっ」が多いことだった。
三木男最後の「井戸の茶碗」が、すごく聴きやすく「えーっ」はなくなっていた。
鈴本演芸場の真打昇進襲名披露興行、隣のおじさんが焼酎を飲みながら「うっぷ」と、お稲荷さんのにおいも気になるものの、昇進口上に聞き入った。
トリ『三方一両損』は聴かせてくれ、芸は人に育てられるのだな、と思った。