職人わくわく - Wakuwaku Workman -

−平成26年4月号−

同級の伊東君、通学途中の自由ケ丘駅でニ言三言のおしゃべりを楽しみにしていた頃を思い出す。
彼は工業高校卒業後、旋盤の世界一筋を歩み続けた。
多摩川沿いにある羽田の工場、家一軒と同じ金額のマシニングセンタ2台が鎮座し、白灯油を撒き散らしながら、燻し銀に輝く鉄を削っていた。
私が始めてみた旋盤は、職人さんが指を持っていかれる現場だったので、恐ろしい印象が残っている。
伊東君は工具を自動交換するために、難しい計算式で何かを割出して、家一軒の機械に命令するのである。
機械の支払いが終わり「さあ稼ごう!」という頃に、リーマンショックがやってきた。
能力開発センターの講師をしながら、マシニングセンタの繁栄を待つ。