職人わくわく - Wakuwaku Workman -

−平成23年9月号−

粋な誕生日祝いをあげたくて、下町蔵前に国産手撚りの線香花火を買いに行った。
線香花火は鉄砲や火薬製造が盛んだった愛知県岡崎などで作られていたが、安価な中国製品が輸入されて、国内の製造元は廃業、国内の線香花火は姿を消した。
「大江戸牡丹」は、山縣商店4代目社長さんが岡崎の職人と火薬の調合を研究、富士の和紙を染色し、花火がきれいに開き、点灯時間が長くなる紙撚りを84歳になる名人から伝授した。
近所のお年寄りを誘っての線香花火大会、最後のちり菊は私にとって、ちょっと空しく、痴呆の母と愛犬のはしゃぐ姿で救われた。